最終日(おまけ)


う・・ううう
ぽ・・ぽんぽんが・・いた・・い・・
これから、きこくのじゅんびせなあかんのに・・
えら・・いこっちゃ・・
めちゃめちゃ・・えらい・・こっ・・ちゃ・・

ぽんぽんとらぶるは、ここでだけはゴカンベンという時に限って襲ってくるものである。
7日目の項でも少し触れたが、外国では特に、このぽんぽんとらぶるになりやすい。

今回、私を襲ったぽんぽんとらぶるは、レベルE。
最低でも5回はトイレに駆け込まなくてはならなくなる、2年に1度クラスの(最悪)レベルの症状である。

ぽんぽんとらぶるの最初の症状は、腹の激痛である。この時点では、まだトイレに駆け込むことはない。
だが、筆舌に尽くしがたい痛みと不安感が恐怖と化して襲う。

あわてて、トランクの奥にしまってある薬入れから正露丸を取り出し、飲む。
レベルEの状態で正露丸を飲んでも、”焼け石に水”で効果がなかなか出ないケースが多いが、
それでも飲まないよりはマシである。
万事を尽くして天命を待つ。最後は正露丸糖衣Aの力を信じるしかない。

数度のトイレタイムを考慮すれば、時間がいくらあっても足りない。
時は糞なり。とにかく”余裕”が欲しくて、慌ててスーツケースに荷物を詰め込み、早めのチェックアウトを済ます。

顔に青筋が入り、冷や汗タラタラの状態でフロントへ。

「お・・おおきに・・ええホテル・・やったわ・・ちぇ・・ちぇっくあうと・・のまえに、ごめーん!部屋に戻ってトイレ行かして!!」


ただいま、大変お見苦しい箇所のため 文章表現を自粛させていただいております  



フロントのおにいさん 「だ・・だいじょうぶけ?」
わたし 「だ・・だいじょうぶ・・だいじょうぶ・・(真っ青)」
フロントのおにいさん 「おおきに。とくに追加料金はないよ。グッドラックエンドグッドバイね」
わたし 「ぐ・・ぐっどらっくえんど・・ぐっどばあい・・(ひきつり笑顔)」

かがみ込むような姿勢で、ホテルを出る。20sを超えるスーツケースと機材の入った肩下げバッグが、この日ほど鬱陶しいと思ったことはない。
町中で第二波が来たらどうしよう・・いや・・もう・・そんなことを考えるのはよそう・・
だいじょうぶ・・だいじょうぶ・・だいじょうぶぅぅぅ・・きゅるきゅるきゅるきゅる・・
のあああああああ!きたあああああああ・・!!
あたふたあたふた とにかくといれ・・といれ・・もう、どこでもいい!あのカフェで・・
「す・・すんませーん!と・・といれかしてくださーい!!」


ただいま、大変お見苦しい箇所のため 文章表現を自粛させていただいております  



ふぅぅ・・(やつれきった顔)
もう・・もう・・しばらくこんやろ・・
とりあえず、はよ空港に行きたい・・
這うようにdenfert rochereau駅に行き、空港までの切符8.5ユーロを買い、電車に乗り込む・・

お願い・・お願い・・いまだけは来ないで第三波・・
お願い・・お願い・・いまだけは来ないで第三波・・・・・・
きゅるきゅる・・・・

き・・きた
どえらいこっちゃ・・
どえらいこっちゃやけど、いまこそ、れいせいになれ。
いま、でんしゃをおりるわけには、いかない。どこにといれがあるかわからないからだ。
とにかく、きをまぎらわすんだ。そうだ、めをとじて、ぐりーんぐりーんをうたおう。

あるひー ぱぱとー ふたりでー かたりーあったさー
このよにいきるー よろこびー そしてといれのばーしょをー 
ちがう!!

ちがううた・・ちがううた・・
おおぶれねりー あなーたのー といれはどこー 
ちがう!!

額から脂汗が玉のように出てくる。
やばい。状況は逼迫している。早急に手を打たねば。
しかし手を打つといっても、今は気を紛らわせるしかない。とにかく・・なんでもいい・・小学生の時、必死で覚えた円周率を天井を見つめながら唱える。
3.1415926535897932384626433・・【このケースのように、決して生涯役に立ちそうのない知識でも、いつか役に立つときはくるものだ。】
となりに座ってるねーちゃんの眉間にしわがよっている。きっとわたしを不審者だと思っているのだろう。だが、そんなことは、あまりにも、どうでもいいことだ。
いまは、この状況を乗り切るしかない。

おそらく人生最大の辛抱をしたであろう。わたしは空港駅まで耐えきった。そして、錆がひどくてもうどうしようもないロボコップのような動きで、駅のトイレに駆け込んだ。


ただいま、大変お見苦しい箇所のため 文章表現を自粛させていただいております  


ふう・・(やつれきって、朦朧とした顔)
もういや・・こんなせいかつ・・
とりあえず・・出国手続きだけ早めに済ませて、あとはトイレで一生涯暮らそう。
そんなこんなで、帰国便のフィンランド航空の発着するゲートを探す。
搭乗ゲートは電光掲示板に表示されているのだが・・



ええかげんにせえよ(-_-)
わしはなあ、いま、こころによゆうがぜんぜんあらへんのやぞ。。
こんなとこで、「わあ♪飛行機がたくさん離発着して、さすがパリの国際空港、超素敵♪」なんて、おもうとでもおもとんのか・・。
ほんま、ええかげんにせえよ・・なんやねん、このおもいっきり見にくい電光板は!!

理不尽な怒りをどこにぶつけていいのかわからぬまま、それでも必死で搭乗便を探す。
とにかく、早く出国手続きを済ませたい。そしてそのままトイレで生涯暮らしたい。今はそれだけなのだ。

右端の下部にAY880便ヘルシンキ行きがあった。GATEは2Dエリアか・・遠いなあ。。
(荷物を)よっこらせっと・・きゅるきゅるきゅる・・

きた(>_<)
といれ・・といれ・・
あ・・あった・・


ただいま、大変お見苦しい箇所のため 文章表現を自粛させていただいております  



もういや・・ほんっとにいや・・(やつれきって油汗すらでない)
しかし、ようやくここで、正露丸が威力を発揮してきたのか、ぽんぽんの具合がマシになりかけてきた。
今さら、遅すぎるねん!と言いたいところだが、グッと我慢である。ここで正露丸くんがへそを曲げたら、わたしの大腸まで曲がってしまう。
ありがとう・・ありがとう・・と腹を時計回りにさすりながら、2Dゲートに向かう。

きゅるきゅる・・
第五波は、それまでの急転直下型とは違い、ハッピーエンドを思わせるフィナーレ的なものであった。
これで、ぽんぽんとらぶるも終わりやな・・安堵の表情すら漂わせて最後のトイレに向かう。
トイレに向かう途中、家電免税店があったので、ゲームボーイソフトのフランス版のテトリスを購入する余裕すらあった。


ただいま、大変お見苦しい箇所のため 文章表現を自粛させていただいております  



嵐のようなぽんぽんトラブルが去り、出国審査を済ませると、急にまたフランスを離れるのが辛くなってきた。
日本に帰りたくない・・。日常の生活に戻りたくない・・。典型的な現実逃避の症状である。
しかし、そうも言ってられない。この旅は普段の日常生活があってこそ、実現しているものだから。。
よし、またがんばって仕事をして、また近いうちに絶対ここに来るぞ!ぜったいぜったい、また来るからな!
そう心に誓うわたしであった。



おしまい♪(2011年度編につづく?)

最後まで、お読みくださってありがとうございましたm(_ _)m



 ↑帰りの便から見た日の出。おもわずコンデジでパシャリ。




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